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無意識バイアスからの「心配」を「エール」に変える

2022年9月7日

 

 こんにちは。青砥美穂です。 

 少し前のことですが、小学4年生のSちゃんが質問してきました。「私って頼りないですか?」と。 一体どうしたのかきいてみると、「何か新しいことをやろうとすると、だいたい心配性なお母さんに止められて、最近衝突することが増えているんです。」と話してくれました。「あなたにはまだ早い」「危ない」「無理」などと言われやりたいことができない、とストレスをためているようでした。

 その日は、お祭りの夜店に大人なしで友達と子どもだけで行く約束をしてきたのに「子どもだけで夜に出かけるなんて危ない」と止められたそうで、どうにかお母さんにばれずに秘密で行く方法がないかを考えつつ「どうやってもバレてしまう」と嘆いてていました(笑

 子どもが何か新しい「やりたい!」を見つけ出しワクワクしているときに、子どものためを思った親が心配してそれを止めてしまうこと、それによりお互いすごく嫌な思いをするというシチュエーション

 そんな経験をされたことがある方は多いのではないでしょうか。

 今日はこのような状況で考えてみたり心にとめておいたりしたら役立つかも知れないと現場で教わったことを2つ共有させてください。

● 無意識バイアスがあったらはずす

 子どもが何か新しいことを「やりたい!」というとき、私たち大人は子どもの安全を考えたり、問題が起きないように配慮したりするということを繰り返しおこなっていると思います。これは当然のことながらとても大切なことですよね。

 その一方で、あまりに繰り返して行っている作業なため、無意識にバイアスをもってしまっている可能性があります。

 「○歳だからできない」

 「まだ小さいから危ない」

 「こういう状況は良くない」

など、深く考えずに決めつけてしまったり思い込んでしまったりしているかもしれないのです。(私も油断しているとそういう思い込みやバイアスに縛られていることがあります)

 もしその「やってみたい!」を実行できたら、子どもはそこからたくさんのことを学ぶかもしれないのに、無意識にもっているバイアス(無意識バイアス)でその可能性を先回りして止めているとしたらもったいないですよね。

 それなので、子どものやりたいに反対している時(またはしようとしている時)まずは無意識のバイアスにより深く考えずに反対しているかどうかをチェックしてみてはいかがでしょう。

 小さい子の例はわかりやすいかもしれません。

 例えば、2歳の子どもがコップに水を入れて運びたがっているとします。「まだ小さいからきっと難しい」「水をこぼしてしまったら大変だからやめさせなくちゃ!」などと深く考えずに阻止してしまうようなケースで、

 「本当にこぼすのか?」「本当にできないのか?」「こぼさないかもしれないし、こぼしたとしてもそれは良い学びになるのではないか?」など一旦バイアスをはずして考えてみるのです。

 もちろん、状況にもよるのですが、無意識バイアスにより止める必要がないところで止めてしまっているケースが割と多いことに気づくかも知れません。

 そこを一旦考え直してみるのです。子どもの経験という視点でも、親子の関係という視点でもとても素敵な可能性がたくさんありそうですよね。

 

● 心を込めて状況や思いを説明する/話し合う

 もう一つ、状況や思いを子どもたちに誠実に心を込めて説明することは、子どもが何歳であれ非常に大切なのではないかと感じています。

 例えば先程のお水の例で、お水を運ぶことをやらせてあげたいけれど、それがレストランのドリンクバーのようなところであった場合、その「やりたい!」を叶えるのは別の場所にしたいと思われるかも知れません。

 それであればそれを子どもに説明したり、話し合ったりするのです。

 「ここはたくさんの人がいて、もしお水がこぼれちゃうとみんながすってんころりんと転んでしまうから、一緒に運ぶか、ここではママが運ぶのはどう?その代わりあとでお家でやってみよう!」など。

 すんなり理解してくれるケース、それでも反発するケース、あるかもしれませんが、いずれにしても説明をしないよりずっと子どは(親も)学べると思います。

 子どもは、(特に年齢が上がるにつれてさらに)反対されることよりも、頭ごなしに否定されることをとても嫌がります(それは大人も同じですよね)

 ちゃんと向き合って説明をするということを繰り返していくことで子どもは理解するようになっていきますし、そこから話し合いもうまれて子どもからの意見も出てくるようになって、第三の方法もみつかるかもしれません。

 子どもたちは大きくなると、もう親にばれないように色んなことができるようになっていきます。その前にしっかり子どもに向き合って価値観を共有しておくこと、また子供の思いを知っておくことはお互いにとってすごく有益だと思います。

 Sちゃんのケースも、お母様におききしたところ、「夜にでかけるのは危ない」「子ども達だけで行かせたら何か悪いことをしでかすのではないか」と無意識に決めつけ過ぎてしまっていたと話してくださいました。それなので、何が心配でどうだったらNGでどうだったらOKなのかというのを丁寧に話し合ったそうです。結果として、条件付きで夜店にいくことになったとのことでした。

 「経験」は素晴らしい「財産」だと思います。これを無意識バイアスからくる「心配」で無駄に邪魔せず尊重し、愛する子どもへのエールにしてあげられたらいいなあと感じています。

 



お読みいただきありがとうございました。

続いてこのブログの内容に関する神経科学の知見からの音声コメント「あおとのぉと」はこちらです:

 Apple Podcast: https://apple.co/3TO3A0h